英国で就労する際、Work place pension制度に加入する権利が被雇用者には与えられています。
今回は簡単にWork place pensionの概要と、それ以外の私的年金についての情報をまとめましたので、これから英国で働く方、もしくはすでに働いていてWork place pensionについて知りたい方の参考としていただければと思います。
Work place pensionとは
- 雇用主と被雇用者が共同で積立をする私的年金のことで、給与から直接天引きされてIncome Taxの節税効果 (Tax relief)もあります。
対象者
- 22歳から公的年金受給の年齢以下、年間収入が10,000ポンド以上、英国内の企業に雇用されて英国内で就労されている方
概要
- 最低で収入の8%(雇用主が最低3%、被雇用者が5%)を拠出することになります。雇用主は最低3%という規定がありますが、被雇用者の拠出の最低額は設定がないため、雇用主が8%拠出する形でも問題はないようですので、福利厚生の一部として雇用主側の拠出額を高く設定していることもあります。
- 加入(Opt-in)、非加入(Opt-out)は被雇用者が選択できます。また加入後1か月以内でOpt-outしたい場合は、それまで支払った金額を返金してもらうことも可能です。1か月以上経過している場合も、Opt-outに変更することは可能ですがそれまで支払った金額は返金されません。
- 短期滞在者(例えばYMSビザなどビザの期限が決まっている、など)の場合、将来受け取ることができるかわからない年金に入金するよりも、収入として受け取ることを選択される方も多いです。とはいえ、状況が変わり長期的に滞在することになる可能性もありますので、加入/非加入を迷われる場合には次の点も考慮してしっかり検討されることをお勧めします。
- Workplace Pensionは英国に居住していなくても受給は可能です
- 入金は基本的に英国の銀行口座になりますが、一部の年金会社は海外の口座への送金も対応していることがあります
- Opt-outする場合、雇用主からの年金入金と、所得税のTax Reliefが同時になくなることになります
Work place pension vs Self-invested Personal Pension (SIPP)
リタイア後の資金を考えて年金積立をもっと増やしたいと考えた際、Work Pensionの積立を増やすべきか、もしくは別で私的年金(SIPP)に加入したほうが良いか考える方もいらっしゃいます。それぞれのメリット、デメリットがありますので、個々に合わせて選択することが必要となります。
①Work Pensionの積立を増やす場合
メリット
- 新たに口座開設やプロバイダー選定などの手続きが不要
- 自動的に天引きされるので確定申告が不要
- 私的年金を一元化できるので管理が容易
デメリット
- 雇用主に積立金額を変える時に報告が必要
- 雇用主指定のプロバイダーしか選択ができず、手数料が高い場合、新たにSIPPを利用する方が得
- 投資先の選択肢が限定的なことが多い
②SIPPに加入する場合
メリット
- 手数料がWorkplace Pensionのプロバイダーより安いケースが多い
- 投資先の選択肢が多い
- 雇用主に関係なく、個人で積立金額の変更、停止などが可能
デメリット
- プロバイダーや投資内容などを自身で選択して判断する必要がある(アドバイザーを利用することも可能ですがコストはかかります)
- 確定申告が必要な場合がある (higher rate of 40% taxの場合など)
- 年金をWorkplace Pensionと別に管理が必要
情報は常に更新、変更されますので、詳しくは英国政府のウェブサイトにてご確認ください。